抄録
一昨年の第21回本大会において本報告の予報をしたが、分析が進んだので第2報を報告する。高崎山では1977-1993、1998-2004年の24年間に157(+1)例の母親による死児の保持を観察したが、出生当日死亡(死産を含む)が約1/3を占め、1ないし7日が1/3、生後60日以上(最長は253日)は1/4以下であった。すなわち、死後も母親が保持し続けたのは、赤ん坊が自由に走り、母親の後をついて自分で移動するようになるまでの死亡例が圧倒的に多い。保持の2/3は3日以内、最高は17日で、ミイラになるまで保持するという伝説は、きわめてまれな例だと思われる。保持率(保持/死亡)は生後1日の死亡の場合が抜きん出て多く、生後短時日に死亡した場合に、母親がそれまでの抱き行動を継続すると考えられる。初産である6-7歳の若い母親が多く死児を保持するが、経験豊かな高齢雌の死児保持も極端には減少しない。