霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-02
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ポスター発表
京都盆地北縁に生息するニホンザルの一群の生態 2)遊動の季節変化(2005年,2006年)
*西邨 顕達
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抄録
(目的)昨年の本大会で自宅(叡山電鉄二軒茶屋近く)をその行動域の中に含むニホンザルの1群(k群と命名)について,行動域と泊り場を報告した.今回は餌,行動域内諸地区の利用,一日の移動距離等の季節変化を2年間の調査結果に基づいて述べる.
(方法)調査は主として“電波追跡(radio tracking)”によって行った.観察は原則として毎日1~3回行い,各回の観察時間は普通1回30分~1時間であった.必ず行ったのは泊り場の位置確認である.調査日数は2005年:361日,2006年:341日であった.
(結果と考察)_丸1_群れの構成.これまでに確かめられた群れサイズの最大値は53頭でその内訳は,成オス:4,成メス:16,0歳(アカンボウ):7,1歳:7,2歳:7,および3歳:4,4-6歳:8,であった(2005年7月道路を横断中).2006年には少なくとも9頭出産している.未成熟個体の割合がきわめて大きい群れの構成である._丸2_行動域.約30 k_m2_の行動域の中でもっともよく利用したのは雲ヶ畑に行く道路沿いの渓谷であり,30%の夜をここで過ごした.この地区には人家も畑もない.従って猿害はない.広葉樹が新芽・若葉をつける4-5月とムクの実が豊富な10-11月は50-60%ここにいた.それ以外の時期には農作物や植栽果実等を求めて隣接地区に出て行くことが多い.とくに夏野菜の時期にはさらに遠く離れた地区まで行くことがしばしばある._丸3_移動距離・遊動範囲.一日の移動距離および1月間の遊動範囲は,2年間の平均でそれぞれ,3.1kmおよび10.1k_m2_であった.両者とも冬~春(12,1-5月)に最小で,秋はその1.5倍,夏は2倍に増加した.野生のニホンザルの移動距離・遊動範囲は一般的に冬に最小で,秋に最大である.これとは異なるk群の遊動パターンはこの群れの夏期における異常に高い農作物依存と強く関係している
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© 2007 日本霊長類学会
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