霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: A-4-2
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口頭発表
シャーマンはチンパンジー特異的反復配列をアフリカ大型類人猿と共有する
*平井 啓久宮部 貴子PERWITASARI-FARAJALLAH D.PAMUNGKAS J.
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抄録
アフリカ大型類人猿(チンパンジー,ボノボ,ゴリラ)の染色体は末端にヘテロクロマチンの塊を保有することが古くから知られている。その内部構造を分子レベルで解剖したところ,テロメア,ヒト内在性レトロウィルス,ならびにサブターミナルサテライト(ss DNA)などの反復配列から構成されていることが明らかになった(Hirai et al. 2005)。我々は配列の特性からその領域をRCROと命名した。ss DNAはチンパンジーにおいて始めてその存在が確認されたもので,テロメアの直近に存在するものである(Royle et al. 1994)。その先行研究では,この配列はチンパンジーとゴリラだけに存在し,ヒトとオランウータンに存在しないことから,アフリカ類人猿の共通祖先に出現し,ヒト系統群で消失したものと推論した。今回はそのss DNAの系統進化を明確にするため,霊長類の4大系統群を含む23種の染色体を,特異的プライマーを用いたprimed in situ labeling(PRINS)法で調べた。
方法はプライマー5’GCGGTACCTTTCCATGTTTATG- GAGATAGCGG3’を用いて,PCRホットプレート上で,93度5分のDNA変性,ならびに61度30分のアニーリングと伸展をおこなうものである。プライマーが反応した部位は,PCR反応溶液に混入したハプテン・ヌクレオチド(dig)を,蛍光色素標識した抗-dig結合体で検出することで確認できる。蛍光顕微鏡で反応場所を観察したところ,チンパンジーでは18対の染色体,ボノボでは16対,ゴリラでは全染色体対,そしてシャーマンでも全染色体対の主に染色体末端が染色されることが明らかとなった。陽性であることが確認されたのはこの4種だけで,その他の19種では反応は全く検出されなかった。
この解析において,アフリカ大型類人猿の全種とアジア小型類人猿のシャーマンだけがss DNAを共有していることが明らかになった。このことはss DNAを含むRCROの霊長類ゲノムへの侵入時期や,そのメカニズムを考察するための重要な基礎情報となると思われるので,その進化について議論したい。
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© 2009 日本霊長類学会
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