霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: P-04
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ポスター発表
霊長類苦味受容体の遺伝子多型解析
*今井 啓雄鈴木 南美菅原 亨松井 淳郷康 広平井 啓久
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抄録
霊長類をはじめとする脊椎動物の感覚は,一次感覚細胞中に含まれる受容体タンパク質で特異的な刺激を受容することによって始まる。視覚,嗅覚,味覚(甘味,苦味,うま味)においてはGタンパク質共役型受容体(GPCR)によって光や化学物質などの刺激が受容され,それぞれ特異的なGタンパク質を活性化することによって細胞内情報伝達カスケードを駆動し,細胞の応答に変換する。
このうち味覚特に苦味受容体T2Rは,食物に含まれる毒物や薬物などの生理活性の高い物質を受容する受容体群であり,数十種類のサブタイプ遺伝子がゲノム中に存在している。昨年度の年会ではチンパンジー苦味受容体の遺伝子多型を解析した結果,種内で非常に多様性が高いことを報告した。RT-PCRによりこれらの受容体が舌に発現していることは確認しているため,味覚の個体差に関係していることが示唆される。
そこでさらにニホンザルやアカゲザル,カニクイザルなどのマカク類を含めて遺伝子多型を解析した結果,それぞれの種間・種内での変異が同定された。これらの中には種特異的に集団内で偽遺伝子が存在している例もあり,マカクでも遺伝子多型を原因とする味覚の個体差が存在することが示唆された。
また,受容体の機能に関わる非同義置換も存在するため,数十種類の受容体とその遺伝子多型を利用することにより,数多くの環境中の生理活性物質に対応していることが示唆される。
これらの受容体の中には対応するリガンドが未知のものが多いため,タンパク質レベルや個体レベルの機能解析により味覚の種内差,種間差と生息環境との関係がより明らかになると考えている。これらの目的も含めてグローバルCOEと霊長類研究所の共同で立ち上げた遺伝子多型データベースも紹介し,分野を超えた議論を行いたい。
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© 2009 日本霊長類学会
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