抄録
医薬基盤研究所・霊長類医科学研究センターでは約2000頭のカニクイザル(
Macaca fascicularis)が飼育管理されている。このカニクイザル集団は遺伝性疾患における連鎖解析に有用であるが,マイクロサテライトマーカー(MSM)はあまり多く報告されていない。我々は昨年度に引き続き,染色体情報を伴う377個のMSMを確立した。二年度に渡って整備したMSMは合計499個となる。
これまでに整備を終えているカニクイザルBacterial Artifical Chromosome(BAC)ライブラリのうち,新たに384クローンについて両末端の塩基配列を解析し,配列決定できた296クローンについて配列情報から対応するアカゲザル染色体を特定した。
BACクローン上に位置するMSM候補配列を含むアカゲザルのゲノム配列を参照してFAM, HEX, NEDの3種類の蛍光色素を標識したGeneScan用カスタム蛍光プライマーを428ペア作成した。多型解析にはGeneMapperを用い,サンプルは12頭の非血縁個体由来のゲノミックDNAを用いた。
結果,カニクイザルで増幅しかつ多型性を示す377個のMSMを得た。これらのMSMは63-647bpのサイズ,平均対立遺伝子数は8.20(2-17)アリル,平均ヘテロ接合率は75(10-94)%で,249個のMSMが75%以上のヘテロ接合率を示した。
また,マカク常染色体およびX染色体を平均10Mbp間隔でカバーし,カニクイザルゲノムデータベースの一部として公開されている(http://genebank.nibio.go.jp/ cgi-bin/qfbase/macMMarker.cgi/)。カニクイザルを用いたゲノム研究に有用なツールを整備することができた。