霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: P-24
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ポスター発表
クーコール発声頻度における性年齢差から考えるニホンザルの群れ
*鈴木 真理子
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抄録
ニホンザルの発声の大半はクーコールと呼ばれるコンタクトコールであり,これは群れの空間的まとまりを維持する機能があるといわれている。しかし,母系集団であるニホンザルにおいて,群れる動機には当然ながら性差・年齢差があると予想される。これは音声の使用頻度の違いにも表れていると考えられる。
そこで,本研究では(1)クーコールの使用頻度・場面に性年齢別クラスで違いがみられるか,(2)発声に対する他個体の応答はあるのかを調べることによって,ニホンザルの形成する群れの空間的構造について考察する。
調査は屋久島西部海岸域に生息するニホンザルの一群を対象に行った。同一群からオトナメス6頭,未発情のコドモ6頭(メス3頭,オス3頭),オトナオス3頭と隣接群からオス3頭を選出し,個体追跡法によって一分ごとのその個体の活動,クーコールの発声回数,および周辺の他個体の空間配置を記録した。観察期間は2007年4月から9月まで,合計322時間だった。
先行研究と同様,発声頻度にはオトナオスとオトナメス間に明らかな違いがあったが,コドモは性別に関係なくオトナメスと同じぐらい高頻度であった。しかし,オトナオスとオトナメスは周囲に他個体がいないとより発声する傾向が見られたのに対し,コドモは周囲に他個体がいない場合も1-4頭いる場合も発声頻度はあまり変わらなかった。
また他個体の応答の有無にも性年齢差が見られた。特に,オトナオスは発声頻度が低いにもかかわらず,より高頻度で他個体からの応答コールを得ていた。これらのことから,コドモは群れの分散によりセンシティブに反応しており,また群れの周辺部にいるオトナオスは完全にはぐれないように効果的になきかわしをしている可能性が示唆された。
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© 2009 日本霊長類学会
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