霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: P-33
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ポスター発表
撹乱環境下でブタオザルが果たす種子散布者としての機能とその相対的重要性―パームシベットとの比較を通じて―
*中島 啓裕SUKOR Jumrafiah Abd.
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抄録
果実食霊長類は,種子散布者として,森林の維持・更新に極めて重要な役割を担っていることが知られている。旧熱帯に広く分布するマカク類も多くの植物種の果実を消費・散布する。マカク類は人為的撹乱に対して強い耐性を持つことから,撹乱環境下での限られた種子散布者として,森林の回復過程に重要な機能を果たしていると考えられる。
本研究では,マカクの1種(ブタオザルMacaca nemestrina)が果たす役割を,もう一つの撹乱耐性種ジャコウネコ(パームシベットParadoxurus hermaphroditus)と比較することで,その相対的重要性を評価することを試みた。特に,1.両グループが消費・散布する植物種,2.両グループが作り出すシードシャドウ(散布した種子の空間分布),3.シードシャドウの違いが植物の生存,成長率に与える影響の3点について調査を行った。調査は,マレーシア・サバ州・タビン野生動物保護区で行った。
これらの結果,1.互いに類似した植物を消費,散布すること,2.マカクはランダムに種子を散布するが,ジャコウネコは特定の環境に指向性散布すること,3.その結果,植物の生存成長に違いを及ぼすことの3点が確認された。これらのことから,マカクとジャコウネコは,森林回復の過程において,互いに異なる貢献をしていると考えられた。
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© 2009 日本霊長類学会
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