霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: P-18
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ポスター発表
チンパンジーのふたごの成長にともなう社会関係の変化
*市野 悦子藤森 唯木村 元大福守 朗小西 克也山田 信宏木村 夏子松村 秀一友永 雅己
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抄録
 チンパンジーは、生まれてからしばらくはほとんどの時間を母親と過ごす。成長と共に母親から離れ、群れのメンバーとの関係を築き、社会関係を広げていく。高知県立のいち動物公園では、2009年にサンゴがダイヤ(オス)とサクラ(メス)という二卵性双生児を出産した。2個体ともを母親が直接育てており、これは国内では初めての事例である。本研究では、ふたごであることが、母親や群れのメンバーとの関係にどう影響するのか、成長にともない社会関係がどのように変化するのかを調べることを目的とする。観察は2010年11月から2011年12月の間、月に3~4日おこなった。観察時間は10時30分~11時30分の60分間とした。1分ごとの瞬間サンプリングで、各個体の最近接距離個体(NN)と2番目に近い個体(2NN)を記録した。また、これらの結果を、京都大学霊長類研究所の単生児を対象に同様におこなわれたNN記録と比較した。結果は、まずふたごのNNになる個体を見ると、ダイヤではサンゴ(母親)が、サクラでは非血縁個体であるチェリー(メス)が高くなった。それぞれの割合と、その時間的推移は類似していた。これは、チェリーがサンゴに代わり、サクラの乳母的役割を果たしているからだと考えられる。最近は、ふたご同士がNNになる割合が増加する傾向にある。また、それぞれの割合と時間的推移が一致しており、母親から離れ、子ども同士で行動するようになっていると考えられる。次にこれらのデータを、霊長研の単生児と比較した。ダイヤたち双生児と単生児に共通して、メスよりもオスの方において、群れの最優位オスがNNになる割合が高かった。オスの子どもにおいては、最優位オスとの社会関係の形成が重要であることが示唆される。
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© 2012 日本霊長類学会
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