抄録
近年,中山間地域において過疎化や高齢化を背景に野生鳥獣による農林業被害が深刻化している.平成 23年度の農作物被害額は,全国で 226億円であり,シカ,イノシシおよびサルの被害が 7割を占めている.高知県では,平成 23年度の農作物被害額は 2億 6千万円であり,シカ,イノシシおよびサルが 8割を占めている.県内では,平成 22年度のシカおよびイノシシの捕獲数は共に 1万頭を超え,平成 18年度と比べ 2倍以上に増加しているのにも関わらず,農作物被害額は 2億円前後で推移しているのが現状である.今後は,獣害への対策として,捕獲だけでなく,集落の被害状況を把握し,集落それぞれに適した対策を考え,行っていく必要がある.
本研究は,高知県の 11集落において,自動撮影カメラを用いた調査を行い,集落内の正確な加害獣の特定,集落への侵入経路等の把握および中・大型哺乳動物の集落への出没状況を明らかにし,今後の防除対策に役立てることを目的とした.
調査は,高知県の香美市,四万十市,室戸市,仁淀川町,越知町,四万十町,津野町,大豊町,梼原町,本山町および芸西村のそれぞれ 1集落の合計 11集落で行った. 1集落に 3台の自動撮影カメラ (Bushnell TROPHYCAM, Bushnell)を設置し,基本的に 7月から 12月まで,合計 5877カメラ日の調査を行った.
この結果を基に,加害獣の出没時間帯および月ごとの集落への出没状況や集落の環境と出没状況の関係等について解析する予定である.
なお,本調査は,高知県委託「平成 24年度獣害に強い集落づくり事業」の一環として実施した.