霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-63
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ポスター発表
植物種の結実状況に応じたツシマテンの果実利用
*大河原 陽子*中西 希*伊澤 雅子
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抄録
 テン属は食肉目であるにもかかわらず,小型哺乳類や節足動物ばかりでなく,果実を多く摂食することが知られている.果実食者の生態は,果実の結実期間に大きな影響を受ける.テン属の生態と餌植物種の関係に関するこれまでの研究は,複数の植物種をひとつの餌カテゴリとしてまとめたり,利用の多い特定の 1種の植物のみを対象としたり,さらに月や季節など任意に設定した期間においてのテンの食性解析に基づいたりと,便宜的なデータの取り扱いをしたものが多かった.しかし,果実の結実期間は限られ,種によって様々であるため,複数種の結実状況の変化に対応したテンによる果実の利用様式を明らかにするためには,各植物種を対象とした短い期間での食性解析を行う必要がある.そこで本研究では,ツシマテン(Martes melampus tsuensis)を対象として,複数の植物種の結実期間や結実状況に応じた果実の利用様式を明らかにすることを目的とした.
 テンが最も果実を利用する春季(4~ 7月)と秋季(9~ 11月)に,長崎県対馬の志多留・田の浜地域において,テンの餌植物の結実時期・結実状況を把握するため,結実果実数の変化を記録した.春季はクサイチゴ,モミジイチゴ,ナワシロイチゴ,ヤマグワ,コウゾの 5種,秋季はアケビ,ムベ,カキノキの 3種を対象とし,各種について調査対象プロットを 5箇所以上設定した.また,テンの食性を明らかにするため,調査期間中は毎日痕跡調査を行い,採集した糞の内容物分析を行った(春季144個,秋季 142個)
 複数植物種が同時に利.用可能である期間でも,テンによって特に利用された種があった(春季ヤマグワ,秋季ムベ).一方,集中的に利用されることはなかったが,テンにとって長期的かつ安定的に利用可能な餌植物があることも明らかになった(秋季カキノキ).テンは,両方のタイプの餌を使い分けることによって植物質の餌を利用していると考えられた.
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© 2013 日本霊長類学会
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