霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-76
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ポスター発表
アフリカ熱帯雨林の環境不均質性が地上性哺乳類の群集構成に与える影響
*中島 啓裕
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抄録
 アフリカの熱帯雨林は,東南アジアや南米の熱帯雨林に比べて環境の不均質性が高く,狭い空間スケールに複数の植生帯が混在することが多い.こうした環境特性は,過去の気候変動と長期間にわたる人為的攪乱によって形作られてきた歴史的な産物と言える.本研究では,サバンナを含む多様な植生帯からなるガボン共和国・ムカラバ国立公園において,環境の不均質性が地上性哺乳類の群集構成にどのような影響与えているか明らかにした.調査エリア約 500km平方キロメートル内のサバンナ内の回廊林,湿地林,山地林,低地混交林それぞれに 3本のライントランセクトを設営し,それぞれトランセクトに 10台の自動撮影装置を 2か月間設置した.得られたデータは,nMDS(非計量多次元尺度構成法)を用いて解析し,植生帯間で種構成と各動物種のアバンダンス比に違いがみられるかどうかを検討した.この結果, ①サバンナに挟まれた回廊林では,回廊林環境に適応・特化した種が複数みられ(Tragelaphus scriptusGenetta maculataなど),地上性哺乳類の種構成が他とは顕著に異なること, ②山地林には,他の植生帯と共通した種がみられるものの,構成種のアバンダンスが他の低地林とは異なることが明らかにされた.山地林の哺乳類層は,小型から中型のダイカー類 3種(Cephalophus spp.)及びミズマメジカ(Hyemoschus aquaticus)が少ないこと,チンパンジーのアバンダンスが高いことによって特徴づけられた.こうした結果は,アフリカの熱帯雨林の哺乳類の多様性は,生息環境の不均質性によって維持されていることを示している.ムカラバ国立公園のサバンナは現在,人為的な火入れによって維持・管理されており,( 日) の結果は,ムカラバの哺乳動物層の多様性を維持するためには,環境への人為的な介入が必要であることを示唆している.
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© 2013 日本霊長類学会
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