抄録
九州山地では 2011年度から 2012年度にかけてニホンカモシカ特別調査が実施され,2002年度~2003年度の前回特別調査時から危機的な状況が継続していることが報告されている.この調査のなかで,大分県において,2011年 12月から 2012年 10月にかけて 6地点に各 2~ 4台の自動撮影カメラを設置し,ニホンカモシカ生息調査の補完と生息する野生動物のモニターを行った.使用したカメラはフィールドノートII(麻里府商事)で,概ね 1~ 3箇月で電池とフィルムの交換もしくは回収を行った.合計 1191台・日の設置数のうち,電池やフィルムの消耗のため実際に稼働していたのは地点毎に約 50台・日から 240台・日,合計 871台・日であった.撮影された数は 653枚で,そのうち野生哺乳類は 352枚が撮影されていた.
ニホンカモシカは豊後大野市緒方町の前障子調査地につながる小川内林道でのみ撮影された.最も多く撮影されたのはニホンジカであった.テンの撮影数が多く,アナグマもタヌキと同等もしくはより多く撮影されている.地域によって哺乳類相に若干の違いがみられ,ニホンザルは一箇所のみで撮影された.
ニホンカモシカの撮影頻度は少なく,唯一撮影された小川内林道では 2012年 6月 25日, 6月 26日,6月 31日の 3例 7枚だけであった.九州山地ではニホンカモシカの分布と生息数に大きな変化がおこっており,自動撮影においても裏付けられる結果となった.自動撮影による調査は,設置場所や設置方法によって大きく結果が異なる.調査はその後も継続しており,以降の結果も含めて報告する予定である.