霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: A2
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口頭発表
道具使用の運動学習:ニホンザルのピンセット使用時の順序学習
*平井 直樹*本郷 利憲*稲冨 貴美*魚谷 恭太郎*佐々木 成人
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抄録
ニホンザルにとってピンセットを使って小片の餌を取る運動が可能であることは前回報告した。この運動は①ピンセットの方向に手を持って行く、②ピンセットを握る、③ピンセットを餌の所に持って行く、④餌をピンセットで摘む、そして⑤餌を口に持って行く、という基本的な単位運動から構成されている。その学習過程を解析したところ、ピンセットを目的に適ったように使うためにはこれら単位運動の巧緻性および各運動単位間の連携を向上させる前に、単位運動の順序決定過程が重要であることが明らかになったので報告する。
手に持たせたピンセットで餌を取れるようになったニホンザル(二頭)の目の前に、ピンセットと餌(芋の小片)を置き、自動的に置いてあるピンセットを使って餌を摘み食べるようになるまでの過程を、サルの前・上・左右に設置したビデオカメラで撮影し動作解析をした。その結果、上記の連繋動作は自明のものでなく、確立するまでに以下のような試行が入り交ざって観察された。
・手を餌の方にもっていき、ピンセットを持った手つきで餌を取る真似をする
・手を芋のところに持っていくが、方向を変えてピンセットに手を持っていく
・手をピンセットのところに持っていくが、ピンセットを掴まずに空のまま手を餌の方に持っていっていく
・手をピンセットのところに持っていき、ピンセットを掴まずに手を餌の方に持っていき、再度ピンセットのところに手を持っていく
・手をまっすぐ前に持っていき、そのあと上記いずれかのパターンを行う
・手をピンセットのところに持っていき、ピンセットを手に取って、ピンセットを餌のところにもっていく
最終的には、最後の連繋運動に集約された。しかし、餌を的確に摘まむには、その後のピンセットの操作法(先端の使い方、持ち方など)の学習が必要であった。これらの過程を経て、ピンセットの機能、使い方、対象物との関連性を理解し、道具の概念を獲得していくと考えた。
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© 2014 日本霊長類学会
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