霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: A19
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口頭発表
タイ・カオクラプック保護区に生息するベニガオザルの性行動
*丸橋 珠樹*NILPAUNG Warayut*浜田 穣*MALAIVITNOND Suchinda
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抄録
ベニガオザルはマカク属のなかで、雄の性器官形態が種特異的であり、体重に対する精巣比率も大きい、雌には明瞭な性腫張がみられないなどの特徴が知られているが、本種の野外での性行動に関する研究は数少なく、これまでの丸橋らによる知見は、本種の進化を考える上で重要である。
我々の研究対象群はタイのマレー半島基部に位置する、カオプラプック・カオタオモ保護区に生息している。本報告では、これまで、一年間に二回、2009年から5年間にわたって続けてきた調査の中から性行動に関するデータを整理して報告する。
性行動の特徴を整理すると、1)明瞭な乾季雨季の気候であるが、季節繁殖者ではなく、新生児出産は通年を通じてみられる、2)Single-Mount-Ejaculatorであり、一回の交尾は短いスラスト部分と非常に長時間の種特異的なpair-sitの二つで構成されている、3)最優位雄は、時折一日間だけ、2時間程度の間に10数回に及ぶ連続交尾(マスト交尾)がみられ、射精間隔時間は10分程度で非常に短い、4)雌の発情継続日数は2日か1日だけであり、普段の追跡で交尾がみられることはほとんどないが、希に複数雌が同時発情する場合がある、5)群れ間の出会いなど群れが混乱し拡散した場合には多くの交尾が突然観察される場合がある、6)モビングとよぶ射精時の数十秒だけ多数の個体が交尾ペアーに接近する現象がみられる。これらの行動を映像で紹介するとともに、ベニガオザルの進化を性行動から考察したい。
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© 2014 日本霊長類学会
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