霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: B12
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口頭発表
ボノボ野生個体群におけるミトコンドリアDNAハプログループの分岐年代
*竹元 博幸*川本 芳*古市 剛史
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抄録
ボノボはコンゴ川左岸の森林地域に生息し、チンパンジーとの共通祖先から0.8-2.0 Ma(Ma:100万年前)に分岐したと考えられてきた。Kawamoto et al(2013)は7地域の野生集団から得られた54のmtDNAハプロタイプに6つのハプログループを認め、それぞれのハプログループの地理的分布が大きく異なることを示した。これらのハプログループはどのような状況で生じ、なぜ現在のような分布になったのか。ボノボが他のPanと分岐した後の、コンゴ盆地左岸における歴史を探る手始めとして、各ハプログループの分岐年代の推定を試みた。
ボノボの起源については、我々はすでに、第四紀の1.0 Ma前後あるいは1.7 Ma前後の厳しい寒冷期に、祖先集団がコンゴ川の右岸から左岸に進入した可能性を指摘している(第29回日本霊長類学会)。今回この仮説に基づき、チンパンジー/ボノボの分岐年代を1.0Ma(1.7Ma)と設定してBEAST(Drummord et al, 2007)をもちいてボノボのmtDNAハプログループの分岐年代を推定した。
ボノボのmtDNA共通祖先は、0.4 Ma前後あるいはそれ以前に存在したと推定され、6つのハプログループの分岐年代も、ほぼ0.2 Ma~0.3Maかそれより古い時代を示した。ボノボ個体群間にみられる地域分化の遺伝的特徴は、最終氷期(0.02Ma前後)以降のような最近の環境変遷で形成されたものではないらしい。北半球では10万年周期の氷期・間氷期サイクルが知られている。ボノボ個体群も、数十万年にわたるコンゴ盆地内での森林の拡大/縮小、河川水量の増減などの環境変遷の影響を受けてきたと考えられる。今後、各ハプログループの分岐年代をより詳細に見積もると同時に、これらの分岐年代がコンゴ盆地の環境変遷とどのように対応しているのか検討を加えていきたい。
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© 2014 日本霊長類学会
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