霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: P26
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ポスター発表
飼育チンパンジーの夜間の就眠場所の記録
*市野 悦子*林 美里
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抄録
京都大学霊長類研究所では、男性4個体、女性9個体の計13個体(1個体は病気療養中)のチンパンジーをアキラ群(以下A群)とゴン群(以下G群)の2群に分けて飼育している。霊研では夜間も、屋外を含めて自由に就眠場所を選ぶことができる。2012年6月に、計画的に次世代を作る群れづくりを開始した。A群のアキラ(推定37歳男性)-アユム(13歳男性)という父系のもと、アユムを父親候補とし、G群にいたパン(29歳女性)を母親候補として、A群に移籍させて自然交配による次世代繁殖を試みている。しかし2014年3月末の時点で、アユムとパンの交尾の目撃例はまだ少なく、両者の個体間関係の検討が必要であると考えられる。これまでも本研究所では、チンパンジーの個体間関係について、最近接距離個体の調査がおこなわれてきており、その記録は研究や群れの管理のための資料として活用されてきた。しかしその調査は日中の観察に限ったものだった。そこでアユムとパンの個体間関係および施設の利用状況を、パンの性皮の腫脹に着目して、夜間の就眠場所という指標から検討した。夜間の就眠場所については、チンパンジーの夕食後に各個体の就眠場所を記録し、個体間の距離を調査した。それにより以下のことが明らかとなった。アユムとパンの距離はパンの性周期に伴って大きく変化し、パンの性皮腫脹が最大もしくはそれに近い時期には、夜間にアユムはパンの近くで寝ていた。また他にも、季節によって就眠場所が変化する個体や、同居していたレイコ(推定47歳)の死亡(2013年9月30日)直後から就眠場所が変化した個体がいた。このように夜間の就眠場所の記録も、個体間関係や施設の利用状況を検討する有効な指標となり、次世代の育成や1群化への有用な資料となることが示唆された。
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© 2014 日本霊長類学会
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