霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: P27
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ポスター発表
マンドリルの社会を行列移動から明らかにする:重層社会か単層群か?
*本郷 峻
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抄録
ヒヒ亜族(Papionina,アフリカ産ヒヒ類)は,ワンメイル・ユニット(OMU)を基礎とする重層社会(マントヒヒ,ゲラダ)や,重層構造を持たない単層の複雄複雌社会(キイロヒヒ,チャクマヒヒ,オリーブヒヒ)など,種によって多様な社会システムを持つことで知られる。しかしながら,マンドリル属(Mandrillus)の社会については,アフリカ熱帯林の観察条件の悪さのために,いまだ明らかにされていない。ヒヒ亜族の社会進化過程とその生態的・系統的要因の包括的理解のために,マンドリル属の社会を研究する必要がある。
マンドリル(M. sphinx)の社会の特徴と社会システムを明らかにするため,発表者は2009年から2013年の4年間,ガボン共和国のムカラバドゥドゥ国立公園で野生マンドリルの調査を行った。群れやサブグループが開けた場所を通過した際のビデオ映像を用いて,性年齢構成,行動,行列の順序やパターンを分析し,他地域のマンドリル個体群や他のヒヒ亜族の種と比較した。
マンドリルの群れ(あるいはサブグループ)は非常に大きく(169-442個体),凝集を保ったまま移動していた。その中でオトナオスは3-6個体(全体の1.4-1.8%)にしか満たなかった。オスのメスに対する「囲い込み行動」は確認されず,また,群れの中にみられた小集団の多くは,オスを含まずメスと未成熟個体のみから構成されていた。さらに,警戒状態におけるマンドリル集団の行列は単層の複雄複雌社会のそれと類似しており,アカンボウを持つメスが行列の後方に集中していた一方で,オトナオスやワカモノオスは前方に集まっていた。
これらの結果から,凝集性の高さとメスに偏った社会性比がマンドリル社会に共通した特徴であること,群れサイズには地域間で種内変異があること,群れはOMUを下部構造とする重層社会との類似性を見せず,単層複雄複雌の社会システムを持つことが示唆された。
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© 2014 日本霊長類学会
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