森林のヒョウは日中,サルが樹から降りたところを狙うことが多い。アフリカニシキヘビは昼間活動し,地上か水辺で58kgまでの獲物を捕らえる。カンムリクマタカはおよそ12kgまでの動物を林床で捕まえる。もちろん昼行性だ。猟師が仕掛ける罠も地上にある。熱帯林内では,昼間であっても,地上は樹上に比べ捕食や怪我のリスクが高いのではないだろうか。地上行動時は個体がより集まりやすくなり,オスが一緒に行動することが多いという作業仮説をたて,検証してみた。ワンバのボノボとボッソウのチンパンジーにおいて,それぞれ地上利用時間が異なる2季節で,一日一頭の個体追跡を行なった。10分毎に観察者から見える個体(independent individualのみ)を距離に関わらず全て記録し,追跡個体の行動カテゴリーで分類して解析した。一般化線形モデルでは,果実量,果樹の分布,THVその他パーティーサイズを増やすと考えられる地上性食物の採食時間,追跡個体の性別は観察個体数に影響せず,追跡個体の地上休息時間が多い日は平均で多くの個体が記録された。10分毎のデータでは,樹上休息時(ワンバ2.3±1.1, n=602; ボッソウ2.0±1.2, n=481)よりも地上休息時(ワンバ2.8±1.7, n=177; ボッソウ2.9±1.5, n=264)の方が観察個体数が多かった。ワンバ,ボッソウいずれにおいても,地上休息時はメスだけの集団が減り,オスメスの両性集団の観察比率が高くなった。地上行動は観察者にとって見にくい。それはボノボやチンパンジーにとっても同様だろう。霊長類全体では捕食圧は群れサイズの増加と複雄群化を促すが,チンパンジーのパーティーではこの傾向がはっきりしない。ここで示した個体数はパーティーサイズとは異なるが,より近接した個体数が増えること,オスを集団に含むことで,警戒行動の効率が高まり,捕食やそのほかの危険のリスクに対応しているのかもしれない。