霊長類研究 Supplement
第34回日本霊長類学会大会
セッションID: P10
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ポスター発表
大隅半島に生息するニホンザル集団の遊動域と群れのまとまり
*座馬 耕一郎竹ノ下 祐二藤田 志歩川添 達朗浅井 隆之
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抄録

照葉樹林を利用するニホンザル(Macaca fuscata)の非餌付け群の調査は,屋久島で集中的におこなわれているが,その他の地域の情報は少ない。大隅半島はニホンザルの本土亜種であるホンドザル(M. f. fuscata)の分布の南限であり,稲尾岳周辺は広く照葉樹林に覆われている。そこで,照葉樹林に生息するホンドザルの群れサイズや性・年齢構成,遊動域などの情報を得るため,2013年より稲尾岳周辺で継続調査を開始した。本発表では2017年におこなった調査の結果を中心に報告する。調査は2017年8月29日から3日間,稲尾岳の東西に位置する肝付町大浦と南大隅町打詰,沢渡の各集落をつなぐ林道でおこなった。調査では集落間の約13.7kmの道のりを7区間に分け,各区間を7人の調査者が同時にゆっくりと歩き,林道上に出現するサルを観察した。またこの7人とは別に行動する調査者2人が,集落間に現れるサルの追跡をおこなった。その結果,大浦付近から打詰までを利用する138頭以上の1集団と,沢渡集落に出現する17頭以上の1集団を観察した。2013年からおこなってきた調査では,大浦と打詰の間には2~3集団が確認されたが,集団を連続して追跡することができなかったため,それぞれが特定の遊動域をもつ群れなのか,それともひとつの群れがサブグループ化したものなのか判別できなかった。しかし今回の調査では大浦付近から打詰までを連続して追跡することができたため,この集落間を利用する集団は,大きな遊動域をもち,頻繁にサブグループをつくる群れであると推察することができた。屋久島では大隅半島のニホンザルと比べて小さな遊動域をもつ小さな群れが観察されている。これらの結果から,照葉樹林を利用するニホンザルのグルーピングに,屋久島と大隅半島の間で違いがみられることが示唆された。

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© 2018 日本霊長類学会
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