霊長類研究 Supplement
第37回日本霊長類学会大会
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口頭発表
自閉症モデルマーモセット脳におけるシングルセル遺伝子発現解析
郷 康広辰本 将司石川 裕恵臼井 千夏渡邊 恵小賀 智文一戸 紀孝
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p. 29

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抄録

国立精神・神経医療研究センター・微細構造研究部において作出された自閉症様行動を示す胎生期バルプロ酸曝露マーモセットの脳を用いた遺伝子発現解析を行うことにより,霊長類疾患モデルとしてのマーモセット脳内における遺伝子動態を明らかにし,ヒト自閉症スペクトラムを含む発達障害の治療法の基盤となるトランスレータブル分子マーカーの開発を目指して研究を行った。胎生期バルプロ酸曝露マーモセット(VPAマーモセット)と定形発達マーモセット(UEマーモセット)を比較対象とし,最もシナプス形成が盛んな3ヶ月齢の2脳領域(内側前頭前野,前帯状皮質)を用いてシングル細胞核遺伝子発現解析を行った。各サンプルから1800~8000個のシングル細胞核データを回収し,1細胞核あたり平均3000~4000遺伝子の発現データを得た。取得した発現データをもとに,UMAP法による次元削減,グラフ法によるクラスタリングを行った。その結果,12種類の興奮性ニューロン,11種類の抑制性ニューロン,2種類のアストロサイトなど31の細胞サイプを同定した。同定した細胞タイプごとに,VPAマーモセットとUEマーモセットの発現比較を行った結果,VPAマーモセットの興奮性ニューロンでは発現低下,逆に抑制性ニューロンにおいて発現亢進が認められた。 このことは,興奮性・抑制性ニューロンの適切なバランスの乱れがヒト自閉症の要因の一旦として考えられている点と類似した現象を捉えていると考えらた。また,ヒト自閉症患者の死後脳から得られた先行研究との比較を行うことにより自閉症マーモセットモデルの有用性を検討した結果を報告予定である。

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© 2021 日本霊長類学会
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