霊長類研究 Supplement
第37回日本霊長類学会大会
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口頭発表
カメルーン東南部の熱帯雨林における類人猿の皮膚感染症:自動撮影カメラによる発見
本郷 峻ゼファック ゼウンス南 倉輔カムゲン トワヴァーナウィ ラターマスシ ジャック水野 佳緒里宮部 貴子岡本 宗裕鵜殿 俊史四津 里英石井 則久鈴木 幸一三上 万理子田村 大也徳山 奈帆子服部 志帆戸田 美佳子四方 篝中島 啓裕ジェト-ロルドン シャンプラン安岡 宏和
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p. 29-30

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抄録

感染症は野生大型類人猿の重要な死因の一つと考えられており,また,ヒトとの共通感染症も数多く知られる。したがって,類人猿の感染症の把握は,彼らの保全だけでなく同所的に暮らす地域住民の健康のためにも重要である。私たちは,2019年12月から翌4月に行った広域での自動撮影カメラ調査によって,感染症罹患の可能性があるニシゴリラ (Gorilla gorilla) とチンパンジー (Pan troglodytes) を観察した。約3,400 km2の調査域内の214地点にカメラを設置し,のべ319個体のゴリラと216個体のチンパンジーを撮影した。そのうち,ゴリラ23個体 (7.2%) とチンパンジー7個体 (3.2%) の皮膚に異変を確認した。ゴリラでは,アカンボウ以外のすべての年齢カテゴリで,顔面,前腕,腋窩,下腿などに潰瘍や変形,結節,脱毛,拘縮がある個体が確認された。 一方,チンパンジーでは顔面の丘疹,四肢や臀部の脱毛や麻痺がみられた。一部,外傷の瘢痕の可能性を否定できない個体があるものの,感染症の罹患が強く疑われる個体も多く,それらは深部真菌感染症,水癌 (Noma),非結核性抗酸菌症,トレポネーマ症 (Yaws) などの発症が示唆された。また,異変のあるゴリラの映像を同地域に住む狩猟採集民バカに見てもらったところ,それはバカ語で「batakomba」という,ヒトも類人猿も罹患する病気である,という回答が得られた。ただし,異変個体の撮影地点は両種ともパッチ状に分布し,村落や農耕区に集中してはいなかったことから,ヒトと類人猿間の頻繁な相互感染は支持されなかった。今後,検体を採取して病名を確定するとともに,類人猿生息域全体でのデータ集約による,感染分布の把握が必要である。

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© 2021 日本霊長類学会
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