霊長類研究 Supplement
第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
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ポスター発表
リベリア共和国パラにおけるチンパンジーの板根への投石行動について:板根と石の分析
大橋 岳スマオロ プロスペールサンガレ アグネスズル ローレンスカウォン シェリーゴル ブラマー
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p. 69-

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抄録

リベリア共和国パラの森に生息する野生チンパンジーはパントフートとともにおこなう板根叩きの文脈で板根へ投石し、森に響く音をたてる。その行動の特徴を知るために、2019年2月から3月にかけて、板根とそこに残された石について調査した。調べた板根は190本だった。それらの木について、GPSによる位置情報、樹木の胸高直径、板根への投石による痕跡の有無、チンパンジーが使用したと思われる石のそれぞれの重さ、樹木のロケーション(平地か斜面か)について記録し分析した。190本中39本(平地25本、斜面14本)には石を当てた痕跡がなかった。遊動域内であっても使われないものもあり、また一部は遊動域を外れている可能性がある。134本には根元に石があり、その合計は1398個あり、平均3.62kg、中央値3.0kg、最小値0.1kg、最大値16.3kgだった。胸高直径の大きさと石の数には相関があった。使用後の石の位置の不安定さから斜面で石の数が少ない可能性が考えられたが有意差はなかった。板根に痕跡があるにもかかわらず、根元に石がない木が平地で66本中8本、斜面で85本中9本あった。斜面で投石後の石が滑り落ちてしまう事例も考えられ斜面での割合が多いと予想していたが、実際には平地と斜面で有意差がなかった。パラのチンパンジーはナッツ割りにも石を利用する。平地で石がなかったところでは、チンパンジーがあらためて別の場所へ石を運んだ可能性が考えられる。

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