主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 39
開催地: 兵庫県
開催日: 2023/07/07 - 2023/07/09
p. 39-40
「ヒトとは何か」という問いに答えるためには、ヒトだけを研究対象とするのではなく、ヒト以外の生物(アウトグループ)から見た視点も必要不可欠である。そこで、本研究では、ヒトをヒトたらしめている最も大きな特徴である脳の進化を「ヒトとは何か」という問いに迫る切り口とする。ヒトとヒトに最も近縁なチンパンジーを含めた類人猿を対象とし、ゲノムという設計図がそれぞれの脳という場においてどのように時空間的に制御され、種の固有性・特殊性となって現れるのか、それを1細胞が持つ分子情報を可能な限り網羅し比較解析することで、「ヒトとは何か」という問いを明らかにすることを目的とした。昨年度までに短鎖型シーケンサーを用いてヒト(2検体)、チンパンジー(1個体)、ゴリラ(1個体)の前頭前野から得られた約3万細胞のデータを解析した結果、ヒトを含め種特異的な細胞集団を見出しつつある。それらのデータに加えて今年度は長鎖型シーケンサーを用いた完全長1細胞遺伝子発現解析(Full-length single-nucleus Iso-Seq)を同じヒト・類人猿サンプルに対して行った。本発表では、それら2つの異なるデータセットの統合解析の結果見えてくる種特異的な細胞集団の特性を明らかにしつつ、1細胞統合解析から見えてくる「ヒトらしさ」の脳神経基盤に関して考察を行う。