主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 39
開催地: 兵庫県
開催日: 2023/07/07 - 2023/07/09
p. 49-50
2017年に告示された現行学習指導要領では、理科のカリキュラム編成が変わると同時に、結果よりもプロセスを重視する探究活動が導入された。中学校1年生では植物と動物の分類を学ぶが、ここでも生徒が自分で分類基準を考案して分類を試みる探究活動が推奨されている。霊長類は、ほとんどの生徒にとって分類についての予備知識がなく、探究活動の題材に適している。本研究では、2019年に愛知県犬山市の中学校1校の1年生144名を対象に霊長類の分類をおこなわせた。日本モンキーセンターで飼育展示している霊長類12種について、全身の写真と顔のアップの写真を種名とともに提示し、生徒に分類基準を自由に定めさせ、1人で複数考案したものも合わせて197件の回答を得た。これをもとに、中学生が霊長類を分類する際に採用した分類基準を分析した。形態学的な基準としては、尾の長さが最も多く採用され(91件、46.2%)、体の大きさ(15件、7.6%)、鼻の特徴(8件、4.1%)が続いた。また、動物がいる場所(止まり木の上、地面など)に注目した回答が21件(10.7%)あった。一方で、ヒトに近いかどうか(12件、6.1%)、知能が高いかどうか(3件、1.5%)といった、資料から判断できない抽象的なもの、種名に「サル」が付くかどうか(10件、5.1%)という外部形態とは関わりのない回答もみられた。中学生の素朴な分類ではあるが、尾の長さは英語のMonkeyとApeに相当し、鼻部の形態は現代の分類にも通じる。科学的な知識と結びつけやすいという点でも、霊長類は分類学の教育上、有用な教材となる可能性があるといえるだろう。