主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 39
開催地: 兵庫県
開催日: 2023/07/07 - 2023/07/09
p. 51
【目的】ヒトの流産の約12%が内分泌異常である。内分泌異常は黄体機能不全などに起因しプロゲステロンやエストロゲンの関与が考えられる。当研究所のカニクイザルにおいてもヒトと同程度の割合で流産を認めており、内分泌異常を原因とする個体が存在する可能性があると考えられる。そこで、妊娠保持を目的に性ホルモン製剤の投与を試みた。【方法】実験対象は妊娠履歴で流産を2回以上認めたカニクイザルとした。交配後3~4週目の診断で妊娠が確認された個体に対し、妊娠末期まで週1回の頻度でプロゲステロン単独製剤あるいはプロゲステロンとエストラジオールの混合製剤を筋肉内投与した。妊娠12および22週目を目安に超音波診断装置により胎児の成育状況について観察した。【結果および考察】プロゲステロン製剤を単独投与した9例のうち2例が末期まで妊娠を維持し、産児を得ることができた。プロゲステロンとエストラジオールの混合製剤を投与した13例中4例からが正常な産児が得られた。ヒトと同程度の割合で内分泌異常による流産が起きていたとしたら、性ホルモン製剤を投与したとしても流産を防止できる割合には限界があると言わざるをえないが、一定の割合で流産防止効果が認められたと考えている。結論を出すためにはさらに綿密な解析が必要である。また、ヒトの流産の原因で最も多いとされる染色体異常も含めてカニクイザルの流産の原因を探求する必要がある。