霊長類研究 Supplement
第41回日本霊長類学会大会
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口頭発表
ヒトと類人猿の脳における1細胞比較オミクス解析
郷 康広野口 京子臼井 千夏辰本 将司
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 92

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抄録
「ヒトとは何か」という問いに答えるためには,ヒトだけを研究対象とするのではなく,ヒト以外の生物(アウトグループ)から見た視点も必要不可欠である。そこで,本研究では,ヒトをヒトたらしめている最も大きな特徴である脳の進化を「ヒトとは何か」という問いに迫る切り口とする。ヒトとヒトに最も近縁なチンパンジーを含めた類人猿を対象とし,ゲノムという設計図がそれぞれの脳という場においてどのように時空間的に制御され,種の固有性・特殊性となって現れるのか,それを1細胞が持つ分子情報を可能な限り網羅し比較解析することで,「ヒトとは何か」という問いを明らかにすることを目的とした。研究対象として,ヒト(4検体)と類人猿(チンパンジー6個体,ゴリラ2個体,オランウータン1個体,シロテテナガザル2個体)の死後脳・前頭前野を用いた。同一細胞核から短鎖型シーケンサーによる定量的発現解析,長鎖型シーケンサーによる完全長アイソフォーム解析に加え,クロマチン動態解析を行った。その結果,ヒト特異的な細胞集団を見出しつつある。本発表では,3つの異なるデータセットの統合解析の結果見えてくる種特異的な細胞集団の特性を明らかにしつつ,1細胞統合解析から見えてくる「ヒトらしさ」の脳神経基盤に関して考察を行う。
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