霊長類研究 Supplement
第41回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
樹液食性のマーモセットにおける腸の栄養吸収機構の適応メカニズム解明を目指した腸管オルガノイド由来腸管上皮シートの作成
石村 有沙岩槻 健今井 啓雄
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 98

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抄録
霊長類では昆虫食、葉食、樹液食、果実食など実に多様な食性が揃っており、食性に合わせた形質の進化を調べる上で魅力的な研究対象である。多様な食物は多様な消化・吸収機構を要求し,霊長類を含む動物は腸の形態や腸内細菌組成を食性に合わせて多様化させていることが知られている。食物が消化されて生じた糖やアミノ酸、短鎖脂肪酸などの栄養素は,腸管内腔を覆う腸管上皮に含まれる吸収上皮細胞に発現する輸送体によって吸収される。食性によって各栄養素への依存度が異なるため、吸収上皮細胞による栄養吸収機能にも種差があることが考えられる。しかし、種々の霊長類から機能解析が可能な新鮮な腸管組織をサンプリングすることが難しいため、この機能が霊長類の中でどのような多様性を示すのかは未解明である。本研究は、様々な霊長類に対して適用可能な、in vitro培養系を用いた栄養素吸収効率の評価系を構築し、霊長類の栄養吸収機構が食性に合わせてどのように多様化しているかを解明することを目的とする。腸管オルガノイド培養系は腸管組織に由来する腸管上皮幹細胞を生体外培養する技術で、生体内に近い状態の吸収上皮細胞を供給できるため、本研究に用いる培養系として最適である。発表者らは難消化性食物繊維である樹液を主食とするコモンマーモセットと、それに近縁で果実食性のワタボウシタマリンの腸管をサンプリングする機会に恵まれ、それぞれから腸管オルガノイドを樹立した(1,2)。現在、樹立したオルガノイドのうち、難消化性食物繊維が腸内細菌に分解されて発生する短鎖脂肪酸の吸収が主に起きる盲腸と、果実に含まれる糖の吸収が主に起きる十二指腸のオルガノイドを用い、それぞれの栄養素の輸送効率評価に利用可能な腸管上皮細胞シートの作成に取り組んでいる。本発表では、系構築の進展状況を報告する。
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