抄録
音、振動、光を用いた従来の警報器は、周囲の集中を妨げたり、静寂が求められる環境で通知を見逃したりする課題がある。電気刺激による通知として電気ショック式やEMSが存在するが、強い違和感や意図しない筋収縮を伴うため日常的なアラーム用途には適さない。本研究では、痛みや筋収縮を伴わない感覚刺激領域を用いた無音個人アラームを提案する。刺激には周波数30 Hz・パルス幅1000 µsの矩形パルスを用い、短い間隔で再提示するため1秒ON・2秒OFFの時間構造を採用した。装着性や日常動作への影響を考慮して電極貼付位置を前腕部に選定し、被験者8名(21〜25歳)を対象に評価を行った。その結果、刺激電流の増加に伴い主観的知覚レベルは上昇したが、同一レベルに必要な電流値には個人差が認められた。スマートフォン操作などの軽作業中でも気づくレベル(筋収縮を伴わないレベル3:1.78〜3.33 mA)へ個別に調整したところ、8名全員が事前の合図がない刺激を確実に知覚した。以上の結果より、個別調整を前提とし、感覚刺激領域と短い再提示間隔を組み合わせることで、不快感を抑えて迅速に通知できる無音個人アラームの実現可能性が示された。