抄録
適応を考慮した上で, 地球温暖化がイネ・コムギの潜在生産性に与える影響について, 全球レベルでの評価を行った.Takahashi et al.(1997) の既存の農業影響評価モデルと比較して, 灌漑の導入と投入労力レベルの変化, 作物品種の細分化という改良を加えることで, 適応策を勘案した場合の生産性について, より現実的な評価が可能となった.本研究で検討対象とした適応策は, 作物品種の変更, 栽培期間の変更であり, いずれも農場レベルで行うことができる.評価作業の結果, それぞれの適応作が温暖化の悪影響を緩和する効果を有していることが明らかになった.