平和研究
Online ISSN : 2436-1054
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1 アメリカにおける平和史研究とその動向
樋口 敏広
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2025 年 63 巻 p. 1-21

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抄録

アメリカにおける平和史研究は、両大戦間期にアメリカ政治思想史家マール・カーティによって先導され、第二次世界大戦後の学際的な平和研究の登場によって本格的に始まった。1964年に設立された「歴史学における平和研究会議」(CPRH)は、核軍備競争や公民権運動といった社会情勢を背景に発展し、平和史研究をより包括的なものとした。

1970年代後半には、ベトナム戦争終結や米ソ間の緊張緩和などの影響を受け、平和史研究は転換期を迎えた。ジェンダー研究の発展とともに女性研究者の多くが平和史分野から離れていった一方で、軍事史・外交史との接近や国際的な広がりの模索といった新たな展開も見られた。

現在、アメリカの平和史研究は、学際性と専門性、西洋と非西洋、研究と運動という3つの岐路に立たされている。初期の平和史研究は学際的な平和研究を歴史学に導入することを目的としていたが、他の歴史学分野との協働が進むにつれて社会科学系分野から遠ざかっている。また、研究対象はアメリカ史が中心であり、国際的な広がりは限定的である。さらに、平和運動などの社会運動との関わり方も変化しており、従来の平和史の枠組に囚われないH-PADが運動面で主流となる中、平和史研究の今後のあり方が問われている。

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