2019 年 1 巻 4 号 p. 74-82
認知活動が情動に与える影響について, 性格要因を踏まえ主観的変化や脳活動から検討した. 健常成人60名にモーズレイ性格検査を行い, 外向性, 内向性傾向が強い各8名を抽出した. 実験は映像を用いた情動喚起後に認知課題を行い, 情動の変動を質問紙と近赤外分光法を用いた脳活動で評価した. 結果, 映像後に増加した情動は認知課題後に有意に減少し, 映像後に減少した情動は認知課題後に有意に増加した. 特に内向性群にて変動しやすさを認めた. 脳活動では外向性群にて右外側前頭葉の有意な賦活を認め, 性格による脳活動の違いが示唆された. 以上から認知活動の情動を安定させる効果, 及び性格によって情報処理過程が異なる可能性が示唆された.