抄録
本研究の目的は,がん患者の作業療法の病期別介入指針を明らかにすることである. 方法は,日本作業療法士協会事例報告システムに登録された67例を対象に予防~終末期に おける作業療法目標とアプローチを分析した.結果,自宅復帰,ADL能力の維持・改善 を全病期の目標に認めた.急性期,終末期の目標は患者の心理的苦痛の緩和が多く,創作活動を実施していた.維持期,終末期では家族や他職種への助言・指導が多かった.作業療法士の病期別介入指針として,患者の心理的ストレスが強い時期は,創作活動の導入により患者の心身の安寧を図り,維持期以降,支援者による補完によって作業の達成を図っ ていることが推測された.