2023 年 5 巻 2 号 p. 36-44
地域生活を送るピアサポートを経験した統合失調症をもつ男性を対象に,障害の非開示の状態から開示後までの変化のプロセス,それらの影響要因を明らかにするためインタビュー調査を実施した.質的分析の結果,[心理的・物理的距離を理由とした障害の非 開示][障害開示への動機づけ][信頼関係形成による自己の再構築のプロセス][回復の実感と元気のお裾分け][障害開示の必要性を感じない状況][相互理解に向けた開示の工夫]のカテゴリーを得た.対象者は『相手との距離を理由に非開示を選択するプロセス』,『非開示の状態から開示を通して自己を再構築し,社会参加に至るまでのプロセス』,『意図的に非開示を使い分けるプロセス』を選択していた.