抄録
不安は、人間にとって合理的に備わった生きていくために必要な力である、しかしながら、日常生活に支障をきたす場合は病的不安として区別される。この病的不安を神経症の中心的な現象として位置付けたのがフロイトであり、フロイトによる精神分析では、不安を回避するための無意識的な心理的メカニズムを防衛機制と説明している。一方、脳科学的には、不安や恐怖の発現には扁桃体が重要な役割を担っていることがわかっている。なお、現在精神科臨床において、精神科診断はDSM-5 などの操作的診断基準により記述されることが多いが、不安が関係する代表的な疾患として、不安症群/ 不安障害群、解離症群/ 解離性障害群、身体症状症および関連症群などがある。日常生活に支障をきたす不安がみられた場合、適切に評価し、状態に応じて、精神療法、薬物療法の導入を検討することが望ましい。