抄録
6分間歩行試験(6MD:6分間歩行距離)は持久力の指標として用いられるが,メタボリックシンドロームの保健指導では3分間歩行試験(3MD:3分間歩行距離)が実施されている。しかし,3MDについて詳細に検討した報告は少ない。そこで,本研究では,心拍数・運動強度・等速性膝伸展筋力との関連から3MDと6MDについて比較検討することを目的とした。方法は,3MD・6MD測定時に心拍数と運動強度を計測した。また,等速性膝伸展運動時のピークトルクと疲労度(筋持久力の指標)を60 deg/sと180 deg/sとで計測し,それらと3MD・6MDの関連について分析した。その結果,3MDと6MDの間には有意な相関関係が認められた(r=0.763,p<0.05)。心拍数は,3MD・6MDともに開始1分後に急激な増加を認め,その後有意な変化はなかった。3MD・6MDともに運動強度に有意な変化は認められなかった。また,3MD・6MDとピークトルクとの間には有意な相関関係はなかったが,3MD・6MDと疲労度の間には有意な相関関係が認められた(r=-0.791~-0.902,p<0.05)。以上のことから,健常成人を対象とした場合,3MD・6MDは筋持久力の指標となることが示唆された。