2013 年 20 巻 1 号 p. 70-73
[はじめに]腰椎椎間板ヘルニアTransligamentous extrusion typeの1症例を経験した。症例は44歳男性で清掃業による座位・立位姿勢の強制がヘルニア塊の症状増悪に繋がり,疼痛・神経症状が出現したが,11ヵ月間の経過で症状改善を認めたので報告する。[方法]本症例に対して,ヘルニア塊の自然縮小を経時的に評価し症状の改善を経過観察しながら,理学療法は再発予防として腰椎の生理的前弯の再獲得をすることで椎間板内圧のコントロールを目的に実施した。[結果]理学療法経過11ヵ月間で,ヘルニア塊の縮小傾向と神経症状,ADL,職業関連動作時痛の改善を認めた。[結論]脱出ヘルニアが自然縮小し,さらに予防的な腰椎の生理的前弯獲得と椎間板内圧のコントロール学習を行った結果,理学療法経過11ヵ月間で症状改善を認めた。脱出ヘルニアの自然縮小を画像所見にて経時的に評価しながら,予防的に運動療法で腰椎の生理的前弯の再獲得,椎間板内圧のコントロールが臨床症状に有効であると考える。