抄録
【目的】本研究は人工膝関節全置換術(TKA)患者の30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30テスト)の経時的変化と痛みおよびその他の身体機能との関連性について検討した。【方法】対象はTKA患者33例39膝であった。検査項目はCS-30テスト,Timed Up and Go test(TUG),膝伸展筋力,開眼片脚起立時間,Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)の日本語版である準WOMACの膝関節の痛みおよび機能であり,各検査をTKAの術前,術後1ヵ月,術後3ヵ月の3回行った。【結果】CS-30テストは術前より術後3ヵ月,術後1ヵ月より術後3ヵ月で有意に改善した。術前のCS-30テストはTUG,術側および非術側の膝伸展筋力,術側および非術側の膝関節の痛みや機能と有意な相関を認めた。術後3ヵ月のCS-30テストはTUG,術側および非術側膝伸展筋力,術側および非術側開眼片脚起立時間,非術側膝関節の痛みおよび機能と有意な相関を示した。【結論】CS-30テストは術側だけでなく非術側の筋力や痛みなどの影響を受ける。TKA患者におけるCS-30テストは下肢筋力の指標になるだけでなく,痛みや身体機能も反映する有用な指標と考えられた。