抄録
【目的】成人脊柱変形症例に対して,スパイナルマウスを用いた脊柱矢状面アライメント評価の妥当性について検討することを目的とした。【方法】50歳以上の成人脊柱後弯・後側弯症患者34名を対象とした。X線像より胸椎後弯角(TK),腰椎前弯角(LL),Sagittal vertical axis(SVA)を測定し,スパイナルマウスではTh1からTh12,Th5からTh12の範囲の胸椎後弯角(TK1-12,TK5-12),腰椎前弯角(LLs),脊柱傾斜角を測定した。性別を制御変数とした偏相関係数を用いて,TKとTK1-12およびTK5-12との関連性,LLとLLs,SVAと脊柱傾斜角との関連性を検討した。【結果】TKとTK5-12は強い相関(r=0.70,p<0.01),LLとLLsは中等度の相関(r=0.63,p<0.01),SVAと脊柱傾斜角では強い相関(r=0.76,p<0.01)を認めた。【結論】スパイナルマウスによる脊柱アライメント評価は,成人脊柱変形症例に対しても有用であることが示唆された。