理学療法 - 臨床・研究・教育
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22 巻, 1 号
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講 座
  • 遠藤 浩士
    2015 年 22 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    スポーツ現場において,理学療法士がスポーツ選手や愛好家などを対象に活動するためには,スポーツの競技特性を捉えることが重要であり,スポーツ外傷・障害の予防と復帰後の競技パフォーマンスに取り組むべきである。2020年の東京オリンピックという大きな大会でスポーツ活動支援を行うためにも,理学療法士が今「何をするべきなのか?」また「何が出来るのであろうか?」。その問いに対しては,スポーツ活動をこれから行う子供や現在行っている子供からスポーツ活動を継続的に行っている選手に至るまで,地域ごとに対象者を取り巻く環境整備などに取り組んでいく必要がある。「スポーツ」という大きな括りとしては,選手のみならず監督・指導者といったスポーツ現場と,医師・理学療法士を含めた医療現場との連携が必要である。さらにスポーツ活動支援を充実するうえでは,理学療法士という職域を超えた知識や技術が求められる。
  • 国分 貴徳, 金村 尚彦
    2015 年 22 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    情報が溢れ,各個人が思うままに私見を発信することが容易となっている現代においては,発信された情報を精査し知識として取り入れていく能力が求められている。理学療法領域に目を向けても,講習会や書籍,文献等を通じて種々様々な情報が発信されており,理学療法士各個人にはその情報の中から,科学的で再現性の高い情報を取捨選択し,臨床に応用していく能力が求められている。その上で,Peer Reviewを経て学会誌および科学誌等に掲載された論文については,一定以上の科学性および再現性が担保されており,その応用価値は非常に高い。一方でそういった情報を応用する際には,科学的視点,すなわちある程度までの研究に関する知識が必要となるが,この点が現状の理学療法領域における課題となっていると感じている。理学療法の臨床はApplied Scienceであるという観点に立脚し,種々多様な情報を精査し応用していく必要がある。それが可能となる程度までの科学的視点を理学療法士各個人が持つことで,理学療法実践における科学性が担保されるとともに,臨床能力の向上につながると考えている。
研究と報告
  • 松本 純一, 丸岡 弘, 金村 尚彦, 村田 健児, 石神 昭人
    2015 年 22 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】末梢動脈疾患は,糖尿病や高脂血症,喫煙等による動脈硬化危険因子により動脈の狭窄や閉塞を起こす疾患であり,酸化ストレスの上昇と血管内皮機能との関連が報告されている。マウス下肢虚血モデルは,作製方法が確立しており,末梢動脈疾患モデルとして研究されている。C57BL/6NCrマウス(野生マウス)は,生体内でビタミンCを合成できるが,SMP30/GNLマウス(VCマウス)はヒトと同様,ビタミンCを合成できない。今回は,異なる系統の下肢虚血が,酸化ストレス防御系に及ぼす影響を明らかにすることとした。【方法】対象は,野生マウス18匹,VCマウス15匹とし,右大腿動脈の結紮による下肢虚血群と,動脈露呈のみのsham群に分類した。外科的処置前後に皮膚温度,酸化ストレス度(d-ROM test値)と抗酸化力(BAP test値)を測定した。【結果】VCマウスは,外科的処置によりd-ROM test値の上昇,BAP test値と潜在的抗酸化力の低下を認めた。【結論】下肢虚血にビタミンC摂取量の低下が加わると,酸化ストレス度が影響を受け,潜在的抗酸化力の低下を生じることが示唆された。
  • 谷澤 真, 飯田 尚裕, 飛永 敬志, 宮崎 千枝子, 齊藤 孝道, 大山 安正, 片柳 順也, 東村 隆, 大関 覚
    2015 年 22 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】成人脊柱変形症例に対して,スパイナルマウスを用いた脊柱矢状面アライメント評価の妥当性について検討することを目的とした。【方法】50歳以上の成人脊柱後弯・後側弯症患者34名を対象とした。X線像より胸椎後弯角(TK),腰椎前弯角(LL),Sagittal vertical axis(SVA)を測定し,スパイナルマウスではTh1からTh12,Th5からTh12の範囲の胸椎後弯角(TK1-12,TK5-12),腰椎前弯角(LLs),脊柱傾斜角を測定した。性別を制御変数とした偏相関係数を用いて,TKとTK1-12およびTK5-12との関連性,LLとLLs,SVAと脊柱傾斜角との関連性を検討した。【結果】TKとTK5-12は強い相関(r=0.70,p<0.01),LLとLLsは中等度の相関(r=0.63,p<0.01),SVAと脊柱傾斜角では強い相関(r=0.76,p<0.01)を認めた。【結論】スパイナルマウスによる脊柱アライメント評価は,成人脊柱変形症例に対しても有用であることが示唆された。
  • 廣島 拓也, 杉山 真理, 武川 真弓, 清宮 清美, 鈴木 康子, 河合 俊宏
    2015 年 22 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【はじめに】車椅子処方の際の座位評価において,左右の坐骨の高低差を数値で表現することは困難である。本報では,左右の坐骨の高低差を,股関節屈曲角度または上前腸骨棘(ASIS)傾斜角度から,推測可能か検証した。【方法】対象は股関節屈曲角度の片側が90度以上(健側)で,対側が90度未満(患側)の,脊柱側弯のない12名とした。両側の股関節屈曲角度と坐骨間距離,ASIS間距離を計測した。測定姿勢は,足底を床に接地させ,骨盤前後傾中間位,健側膝関節90度屈曲位,健側腓骨が鉛直となる姿勢とした。ASISの傾斜角度と坐骨傾斜角度は,臀部の陰性モデルを作成し測定した。坐骨高低差とASIS高低差を算出し,坐骨高低差を従属変数,患側股関節屈曲角度・ASIS高低差を独立変数とした単回帰分析により回帰式を算出し,検討した。【結果】回帰式は[坐骨高低差=-0.276×患側股関節屈曲角度+28.146](回帰係数p=0.01)と,[坐骨高低差=0.261×ASIS高低差+4.469](回帰係数p=0.96)が算出された。【結論】股関節屈曲角度に左右差のあるものに対して,患側股関節屈曲角度から坐骨の高低差が推定可能であることが示唆された。身体機能評価に基づいた車椅子処方の一助となると考えられる。
  • 藍原 章子, 解良 武士, 大武 聖, 森田 悠介, 浅岡 祐之
    2015 年 22 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,低強度負荷において運動形態の異なる非支持型上肢運動と支持型上肢運動に換気反応の差異があるかを検討することである。【方法】健常成人男性16名に対して,非支持型運動として棒を把持した反復挙上運動を,支持型上肢運動として作業療法場面で用いられるサンディング運動を行わせ,換気量と呼吸中枢出力の指標である気道閉塞圧を測定した。【結果】分時換気量や呼吸数などの換気量や主観的運動強度には差がみられなかったが,気道閉塞圧は非支持型上肢運動が支持型上肢運動に比べて有意に高値を示した(p<0.01)。【結論】非支持型上肢運動は支持型上肢運動に比べ呼吸努力が必要であり,呼吸困難感が顕在化しやすい呼吸不全患者の場合では呼吸困難感に影響を及ぼす可能性がある。
  • 武井 圭一, 國澤 洋介, 森本 貴之, 岩﨑 寛之, 高畑 朱理, 山本 満
    2015 年 22 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は,糖尿病教育入院中の運動療法に対する行動変化の指標として用いた行動変容ステージ(ステージ)の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】糖尿病教育入院中に理学療法(Physical Therapy: PT)を施行した30名を対象に,ステージと身体活動量(Physical Activity: PA,歩数計による1日の歩数)を後方視的に調査し,初回・最終でのステージ変化率,歩数計によるPA記録実行者の割合,PAの経時的変化について分析した。【結果】ステージ変化率は,熟考期から準備期への変化が75%,準備期から行動期への変化が50%,その他は変化を認めなかった。歩数計によるPA記録実行者の割合は,前熟考期0%,熟考期50%,準備期92%,行動期67%,維持期67%であった。PAの平均値±標準偏差(PT1日目から5日目)は,4,608±2,461,5,905±3,288,5,395±2,288,6,840±3,206,7,981±4,218歩/日であり,PT1日目に比べて4・5日目で有意に増加した。【結論】ステージは,熟考期から準備期への変化は捉えやすいが,準備期に対してはPAが増加していても短期間では行動期へ移行しにくい特徴があると考えられた。
  • 久保 和也, 松本 純一, 村田 健児, 亀田 光宏, 井澤 克也, 榊 聡子, 寺部 雄太, 大平 吉夫, 安藤 弘
    2015 年 22 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】糖尿病・末梢動脈疾患患者における足関節背屈可動域と前足部創傷の関係を明らかにすること。【方法】糖尿病,末梢動脈疾患患者55名99肢を対象とした。年齢,合併症の有無,足関節背屈可動域,前足部創傷の有無をカルテより抽出し,創傷あり群,創傷なし群に分類し2群間比較を行った。また,3ヵ月間継続的に理学療法介入が可能であった30名30肢の足関節背屈可動域について可動域改善群,可動域非改善群に分類し創傷の治療経過を比較した。【結果】足関節背屈可動域は創傷あり群-0.6 ± 6.13°,創傷なし群2.34 ± 6.39°であり有意差を認めた(p<0.05)。可動域改善群18名,可動域非改善群12名であり,創傷の治療経過に有意差は認めなかった。【結語】足関節背屈可動域制限は前足部創傷形成に関与する結果となった。創傷の治療経過には有意差は認めなかった。足関節背屈可動域の改善は創傷予防,治療の一環として介入効果を認める可能性がある。
  • 万治 淳史, 吉満 倫光
    2015 年 22 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は回復期リハ病院入院中の片麻痺患者に対し,シーティング(車椅子寸法などの適合・調整)を行い,体幹機能・座位姿勢・バランス能力に与える効果について,明らかにすることとした。【方法】対象は回復期脳卒中後片麻痺患者10名であった。各患者に対し,シーティングを行い,調整した車椅子を使用した期間と標準型車椅子を使用した期間(各一週間)の前後における体幹機能・バランス能力について,比較を行った。【結果】結果,体幹機能・バランス能力について,シーティングを行った車椅子を使用した前後において,体幹機能・バランス能力の有意な改善を認めた。【結論】結果から,回復期脳卒中後片麻痺患者においては車椅子の適合を評価し,患者の特徴・状態に合わせたシーティングを行うことが機能回復の一助となることが示唆された。
  • ―底屈制動モーメントと下腿の傾斜角度に着目して―
    小峰 隆弘, 鈴木 勝年, 丸山 英樹, 大塚 香菜, 五十嵐 隆
    2015 年 22 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】我々がこれまで開発してきた,フローチャート式の装具判定シートの有用性を検証することである。【方法】脳血管障害患者を対象に,Gait Judge(以下,GJ)を用いて10 m歩行を実施し,装具判定シートの底屈制動に該当するものを底屈制動群,それ以外に該当したものをその他群とし,この2群間でχ2検定を行なった。有意水準は5%とした。【結果】底屈制動群で有意(p=0.041<0.05)に1st peakが出現した。【考察】我々が作成した装具判定シートは,アンクルロッカー機能の観察に焦点をあてたものが多く,それがヒールロッカー機能を発揮できる潜在性を評価することとなり,1st peakの出現を予測することが可能となった。1st peakの出現が予測可能となったことで,GJを使用することなく,底屈制動機能を効果的に使用できる者を選定する,重要な情報を得ることができるものと考えた。【結論】作成した装具判定シートは,底屈制動機能の必要性を判定する場合においては有用であることが示唆された。
  • 武川 真弓, 下池 まゆみ, 石井 佑穂, 西尾 尚倫, 小川 秀幸
    2015 年 22 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】車椅子使用者に対して,骨盤ベルトを使用し骨盤を支持することで,駆動に必要な筋出力と動的座位バランスに有効な変化が生じるかを検討する。【対象と方法】対象は当センター回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中片麻痺者で,普段の駆動中に殿部の前滑りを認める4名とした。非麻痺側膝関節屈曲筋出力,Stroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS)の非麻痺側大腿四頭筋力・腹筋力・垂直性,非麻痺側下肢荷重量,計測椅子座位前方リーチ距離,SIAS腹筋力評価時の骨盤肢位を計測し,骨盤ベルトを使用した椅子座位と非使用の椅子座位で比較した。【結果】骨盤ベルトを使用すると,使用しない時と比べて,非麻痺側膝関節屈曲筋出力,非麻痺側下肢荷重量,足底非接地下での計測椅子座位前方リーチ距離は増加,延長した。【考察】殿部の前滑りを認める片麻痺者は骨盤ベルトの使用により,骨盤が支持されることで体幹・股関節の機能が補完され,下肢の筋出力と動的座位バランスの改善につながる可能性があると考えられた。
  • 若梅 一樹, 米澤 隆介, 目黒 智康, 海老澤 玲, 田沼 志保, 桒原 慶太, 塗山 正宏, 占部 憲
    2015 年 22 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】大腿骨近位部骨折において骨折型の違いによる術後の機能回復および自宅退院率を比較検討した。【方法】大腿骨近位部骨折患者26例を対象として,骨折型によって頚部骨折群15例と転子部骨折群11例の2群に分類し,術後1週と退院時において術側股関節の関節可動域,術側と非術側の下肢筋力,および歩行能力を測定した。また,自宅退院率を調査した。【結果】術後1週において,頚部骨折群は転子部骨折群と比べて下肢筋力のうち術側の股関節外転筋力が有意に強く,病棟での歩行自立度も有意に高かった。退院時において,頚部骨折群は転子部骨折群と比べて受傷前と同様の歩行能力まで回復した割合が有意に高く,自宅退院率も有意に高かった。【結論】大腿骨近位部骨折において,頚部骨折は転子部骨折よりも術後の筋力や歩行能力の回復が早く,自宅退院率も高いことが示された。
症例検討
  • ―歩行時の足関節角度に着目した1症例―
    若井 陽香, 新岡 大和, 上野 貴大, 山口 大輔, 座間 拓弥, 成尾 豊, 鈴木 英二
    2015 年 22 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】脳卒中後の下肢痙縮に対するボツリヌス療法では,受動的機能改善(関節可動域,筋緊張)は認められるものの,能動的機能改善(歩行速度,歩容)は難しいとされており,リハビリテーションの併用が重要である。今回は足関節底屈筋群にボツリヌス療法を施行した維持期脳卒中患者にIVESを用いた歩行練習を実施し,その効果を検討した。【方法】ボツリヌス療法施行前,1週後,1ヵ月後にBRS-T,ROM,MAS,解析用ソフトウエアImage-Jを用いた歩行中の足関節角度を評価し,評価項目の経時的変化について検討した。【結果】1週後は,ROM・MASが改善し,立脚後期・遊脚中期の足関節背屈角度が増大した。1ヵ月後はROM・MASが維持され,立脚後期・遊脚中期の足関節背屈角度は更に増大した。【考察】1週後は受動的・能動的機能ともに改善したことは先行研究と異なったが,1ヵ月後は更に能動的機能が改善し,リハビリテーションを併用した効果と考えられた。
  • 中野 克己
    2015 年 22 巻 1 号 p. 67-69
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【目的】脳梗塞により右片麻痺を呈し,歩行に介助が必要な50歳代男性に対して,歩行中の足圧中心軌跡を利用して歩行練習,装具の作製を行った。【方法】入院時から2週間後,6週間後,14週間後の足圧中心軌跡を求め,歩行練習を実施した。歩行解析にはリアルタイム足圧計測システムを使用した。14週間後には,さらに継手付短下肢装具を想定し下腿ベルトをはずしたプラスチック短下肢装具の足圧中心軌跡を計測し,本人用装具作製の検討を行った。【結果】歩行の評価に足圧中心軌跡を利用することで,歩行周期毎の不安定感や下肢の支持性等の問題点が明らかとなり,歩行練習と装具の作製に活かされた。装具完成後,T字杖とプラスチック短下肢装具にて歩行は自立となった。【結論】本症例に対する歩行練習と装具作製において,足圧中心軌跡の利用が有効であった。足圧中心軌跡は,視覚的な歩行分析では入手困難な情報をより鋭敏に捉え,今後の歩行練習への有用な評価手段として期待される。
  • 矢作 賢史, 圷 誠斗, 矢作 翔平, 吉野 恭平, 藤井 基晴
    2015 年 22 巻 1 号 p. 70-73
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/09
    ジャーナル フリー
    【はじめに】三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex,以下TFCC)損傷によりゴルフスウィングが困難になった症例を経験した。本症例に対して理学療法を実施し,症例は装具を使用せずとも疼痛なくゴルフスウィングが可能となりスポーツ復帰を果たした。スポーツ復帰と再発予防についてその要点を運動学的視点から検討する。【方法】本症例に対し,疼痛の改善と再発予防を目的として運動療法を実施した。ゴルフスウィングにおける上肢のキネマティクスを考慮し,open kinetic chain(OKC)での前腕回内外運動に加えclosed kinetic chain(CKC)での前腕回内外運動を実施した。【結果】理学療法開始後6ヵ月の時点で,装具を装着しなくとも疼痛の出現なくフルスウィングが可能となったため理学療法を終了した。【考察】本症例におけるTFCCの損傷機序は非生理的な手関節の運動の繰り返しが考えられた。TFCC損傷を回避するためにはOKCとCKCを組み合わせた前腕回内外の運動方略を運動療法において習得させることが重要であると考えた。
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