抄録
【目的】脳卒中後の下肢痙縮に対するボツリヌス療法では,受動的機能改善(関節可動域,筋緊張)は認められるものの,能動的機能改善(歩行速度,歩容)は難しいとされており,リハビリテーションの併用が重要である。今回は足関節底屈筋群にボツリヌス療法を施行した維持期脳卒中患者にIVESを用いた歩行練習を実施し,その効果を検討した。【方法】ボツリヌス療法施行前,1週後,1ヵ月後にBRS-T,ROM,MAS,解析用ソフトウエアImage-Jを用いた歩行中の足関節角度を評価し,評価項目の経時的変化について検討した。【結果】1週後は,ROM・MASが改善し,立脚後期・遊脚中期の足関節背屈角度が増大した。1ヵ月後はROM・MASが維持され,立脚後期・遊脚中期の足関節背屈角度は更に増大した。【考察】1週後は受動的・能動的機能ともに改善したことは先行研究と異なったが,1ヵ月後は更に能動的機能が改善し,リハビリテーションを併用した効果と考えられた。