関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-065 若年者において安静時血圧値は運動時の血圧値変化に影響するか
馬場都山口健太江口勝彦
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p. 249-

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抄録

【目的】血圧は運動時のリスク管理の指標のひとつである.高血圧の高齢者は,運動負荷後の血圧が正常血圧者より上昇しやすいという報告があるが若年者に関するデータは少ない.本研究の目的は運動時リスク管理に資するため,若年者を対象に安静時収縮期血圧値より2 群に分類し,軽度の運動負荷を加えた時の血圧変動の特徴を明らかにすることである.本研究は2013 年改訂のヘルシンキ宣言に沿った研究であり,学内卒業研究倫理審査により承認された.

【方法】対象は説明を行い自らの意志で参加した21~22 歳の健常な大学生32 名(男性18 名,女性14 名)とした.安楽な椅子座位で10 分間安静後,左上腕で水銀柱式血圧計を用い,聴診法により血圧測定を行い,その結果から至適血圧と正常血圧(収縮期血圧129mmHg 以下)を正常値群,正常高値血圧とI 度高血圧(収縮期血圧130~

159mmHg)を高値群とした. 運動負荷はMaster’s double two-step test を行った.運動負荷後,安楽な椅子座位で,運動直後から運動前の血圧値に戻るまで2 分ごとに血圧を測定した.安静時血圧値を100%とした時の収縮期血圧と拡張期血圧の変化率を算出した.変化率と運動後血圧が安静時血圧まで戻るまでの時間について正常値群と高値群間の平均値の差を対応のないt 検定により比較検討した.いずれも危険率は5%とした.

【成績】収縮期血圧の変化率は正常値群16.6±7.46,高値群14.0±9.12 と有意差はなかった.拡張期血圧の変化率は正常値群4.22±9.4,高値群3.57±8.10 と有意差はなかった.収縮期血圧が安静時血圧値に戻るまでの時間は正常値群7.92±2.55,高値群10.00±3.83 と有意差はなかった.

【結論】本研究で用いたMaster’s double two-step test の負荷量は6~7METS 程度と日常生活での労作をほとんどカバーしているが,若年者では血圧が高めでも日常生活程度の運動負荷における血圧変動は正常値者と違いはない.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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