抄録
我が国においては, これまで幾度かの大事故がロケットの打上げにおいて発生している.それぞれ事故原因は究明されて改善対策が施されているものの, ロケットの全般的な信頼性向上及びその確保が緊急かつ重要な課題であるとして, 現在も潜在的な課題等に対して, 広範囲な信頼性向上活動を継続しているところである.一方, これまでロケット開発分野において, 良好な信頼性, 整備性, 安全性を重要視するのみならず, ユーザの要望に答えるべく開発スケジュールの短縮化, 低コスト化を図っていく必要がある.ロケットにおいては, システムが複雑かつ巨大であり, 使用環境, 要求仕様が厳しく, 高リスク及び現象のメカニズムを十分把握できていない故障モードが多数潜在しており, このため, 開発や実証試験において高信頼性を保証する効率的な手法の構築が望まれている.本論説では, ロケットにおけるこれまでの信頼性に関わる活動の概要を述べるとともに, その問題点及び今後の方向性についてまとめた.