2015 年 53 巻 3 号 p. 284-295
本研究では幼稚園3・4歳児学年の幼児の「つまずき」場面における幼児の発達的変化に応じた幼稚園教師の行動を明らかにすることを目的とした。幼児26名と教師1名を対象に両者のやりとりの観察記録と,教師へのインタビュー記録を収集し,2学年を比較し分析を進めた。その結果4歳児学年時になると教師が幼児の感情の発達的変化に配慮して「敢えて関わらない」行動を取るようになることが見出された。そしてこの教師の行動には「幼児の感情に配慮する」「幼児の主体的な行動を引き出す」「幼児同士の関係を繋げる」働きがあることが見出された。最後にこれらの働きの背景に幼児の自律的な情動調整を促す教師の行動のしくみがあると考察した。