小論では,心理学的観点から保育評価のあり方を検討した。その際,発達理論の構築で重視されてきた「分析単位」の考えを重視し,媒介理論に依拠して2つの分析単位を設定した。1つは,子どもの遊びの展開を捉えるための「遊びの三角形」であり,もう1つは,遊びの展開を支える保育者の援助を捉えるための「導かれた参加」(ロゴフ)である。この2つの分析枠組みを用いて,〈遊び―発達〉および〈保育の過程〉という2つの評価軸から,エコロジーの異なる2つの保育実践を分析した。両実践において,遊びの状況や課題のダイナミックな変化・発展は,「遊びの三角形」の図式である程度可視化できると考えられた。そして,エコロジーや思想的系譜の異なる保育実践であっても,保育の過程における共通性を,「導かれた参加」概念によって抽出できる可能性が示された。