保育学研究
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原著<論文>
インクルーシブ保育のエスノグラフィ
―発達障害児への異別処遇の過程―
垂見 直樹
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2019 年 57 巻 2 号 p. 76-86

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抄録

インクルーシブ保育の実現にはどのような保育者の態度が望ましいだろうか。保育現場におけるインクルージョンは,同一の空間において,多様なニーズをもつ子どもたちへの異別処遇が課題となるが,そこで生じる保育者による経験の過程の分析が求められる。
本稿は民族誌的な調査に基づき,保育者による発達障害児のインクルージョンの経験と,その保育士への影響を分析した。その結果,子どもに対する認識の変化が生じ,同時に行為指示方略を含めた保育実践の見直しが生じていた。そしてそれらの変化は,課題と責任の組織化,暗黙の規範からの解放,子どもや保護者からの肯定的なフィードバックに支えられながら進行した。こうして,保育者に肯定的な影響がもたらされたと考えられる。

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© 2019 一般社団法人 日本保育学会
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