抄録
本研究は,ノルウェーにおける21世紀初頭の保育者のジェンダーバランスに関する政策に着目し,その政策内容の変遷と意図を明らかにすることを目的とする。1997年から2017年までにノルウェーで発行された保育施設における男女平等に関する政策文書や民間研究機関の報告書の記述を分析した。その結果,保育者のジェンダーバランスを適正化するための多様な政策が異なる省庁や関連団体から発行された変遷,男性保育者が子どもや保育者の意識を男女平等に向けて変革するプロモーターと位置付けられた意図,保育者の性別に関するアンコンシャス・バイアスを取り除くためのアファーマティブアクションがとられた経緯が明らかとなった。保育者のジェンダーバランスを通じて,幼児期に子どもの男女平等意識を培う重要性が示唆された。