保育学研究
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原著<論文>
幼児期初期の罪悪感の芽生えとしての “後ろめたさ”の表出
―保育者からのルール違反の禁止に対する幼児の反応の分析―
深津 さよこ岩立 京子
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2021 年 59 巻 1 号 p. 33-44

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抄録

本研究では,幼児期初期の罪悪感の芽生えを「後ろめたさ」と名付け,苦痛,緊張,視線回避等の指標から捉えていく。保育所の担任保育者と生後9から18か月児との相互作用によって現れた「後ろめたさ」と,「保育者を確認する姿」(深津・岩立,2019)との関連を検討した。その結果,後ろめたさの表出が見られ,この時期の子どもの経験や行動レパートリーの不足から違反への謝罪や修復行動には至らないと解釈された。また,「保育者を確認する姿」は,「後ろめたさ」の表出であり,保育者の情動や意図を確認する役割があると考察した。さらに,保育者との信頼関係を基に「後ろめたさ」の感情を経験し,他者からの自己への評価に気付き始めると考えられる。

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© 2021 一般社団法人 日本保育学会
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