本研究では,幼児期初期の罪悪感の芽生えを「後ろめたさ」と名付け,苦痛,緊張,視線回避等の指標から捉えていく。保育所の担任保育者と生後9から18か月児との相互作用によって現れた「後ろめたさ」と,「保育者を確認する姿」(深津・岩立,2019)との関連を検討した。その結果,後ろめたさの表出が見られ,この時期の子どもの経験や行動レパートリーの不足から違反への謝罪や修復行動には至らないと解釈された。また,「保育者を確認する姿」は,「後ろめたさ」の表出であり,保育者の情動や意図を確認する役割があると考察した。さらに,保育者との信頼関係を基に「後ろめたさ」の感情を経験し,他者からの自己への評価に気付き始めると考えられる。