2022 年 60 巻 2 号 p. 91-101
本研究の目的は,保育の遊び場面に適した「危険性」を,「ハザード」「リスク」の概念を用いて新たに提案することである。子どもの安全に関するこれまでの研究を精査した結果「ハザード」と「リスク」の概念に混乱が見られた。子どもの遊びにおける「危険性」には価値があるとする概念と,存在する「危険性」は限りなく排除することが前提となる概念がある。そうした混乱を解消するため新たな定義を提案した。新たな定義では「ハザード」は「子どもが関わる可能性のある全ての事象」,「リスク」は子どもにとって“良い影響”と“悪い影響”の両方が含まれる。