2023 年 61 巻 1 号 p. 7-18
特別ニーズ児が支援に繋がった事例を検証し,保育者の役割と支援を促す園の体制について明らかにすることを目的とした。園長に半構造化面接を実施しM-GTA法で分析した結果,支援がうまくいかない要因として母親と園との関係不全がみられた。保育者の介入が,特別ニーズ児・保護者への理解と母親からの信頼に繋がること,管理職の力量が母親の気持ちや障害受容に好影響を及ぼすことが明らかとなった。特別ニーズ児の家庭支援のためには,児の発達を促すことに加え担任の視点拡大や専門性向上,保護者に寄り添う園体制整備が不可欠で,管理職としての指導力や統率力に加え園長への信頼が,保育者による主体的支援のための土台となることが分かった。