本研究は,主体的な遊び手としての親の振る舞いの特徴を示すこと,そのような親の振る舞いの親子の遊びや関係における意味を考察することを目的とした。家庭での親子の遊びの観察により,親と子が対等に影響力をもって遊び,親が集中と楽しみを示す事例を抽出し分析した。その結果,親が主体的な遊び手となるのは,1)挑戦や競争を楽しむ遊び,親子の技量の差が縮めやすい遊びで,2)遊びそものもに惹かれる場合と意図的に遊びに入り込む場合があった。また,3)親は自身の多様な心情や実感,遊びに関わる要望を率直に表現し,そのような親の振る舞いが親子の関わり方や遊びの展開を広げる可能性が示された。